2022 年 49 巻 5 号 p. 510-516
【目的】仙台市乳がん超音波検診の現状と問題点を把握することを目的に、検診医師と検診医療スタッフおよび検診受診者を対象とした自己記入式質問調査を実施した。
【対象と方法】仙台市医師会外科医会に所属し、仙台市乳がん超音波検診を実施している施設において検診医師と検診医療スタッフおよび検診受診者を対象とした自己記入式質問調査(アンケート)を行い、その結果に対し疫学的検討を行った。
【結果】19の調査機関から検診医師と検診医療スタッフより47件、検診受診者より701件のアンケートを回収した。検診受診者については「毎年受診している」が全体の74%を占め、「出産歴がある」が66%であった。また、自己触診だけでは不安を感じ、仙台市健康福祉局の広報などを通じて検診を知り、受診しているケースが多かった。検診全体への満足度は「満足」、「ほぼ満足」を合わせて95.1%と非常に高い評価を得た。
一方、検診医師や検診医療スタッフからは、検診機関として参加できたことへの満足度は高いものの、プライバシーへの配慮や事務手続き等の点で改善が必要であるとの意見が寄せられた。
【結論】今回の調査では検診受診者より高い満足度が得られた。このことから、仙台市乳がん超音波検診は、検診受診者と医療者との信頼関係を背景に、安心・安全に行われていることが推察できる。今後、より迅速に乳がん超音波検診が受診できる体制づくりが必要と思われる。