総合健診
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第52回大会
日本総合健診医学会 第52回大会・教育講演2 アイセンターの挑戦
岡野内 俊雄
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 51 巻 5 号 p. 423-430

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抄録

 眼科医療は、この20年で検査機器の急速な進歩に伴う診断能力の向上と詳細な病態解明が急激に進み、治療適応疾患の拡大と増加、手術治療等の急速な発展が起こった。その結果、特殊な診療体系と看護体制を必要とする眼科医療の専用施設と専属チーム編成の必要性が高まった。倉敷成人病センターは2021年2月の新棟建築を機にアイセンターを開設した。病院眼科の治療主体は手術治療であり、当院では内眼手術である網膜硝子体手術、緑内障手術、水晶体関連手術が多い。眼ゆえに重症疾患であっても殆どは局所麻酔の手術となる。患者にとって目の中をいじられるストレスは想像以上に大きい。そのため、術中の血圧上昇や不穏状態も稀ではない。アイセンター開設にあたって最も重視したのは、治療の最終病院として完結する高度な医療はもとより、治療に対峙する患者の不安や緊張などの精神的ストレス、あるいは身体的負荷を和らげるために何ができるかである。鍵となるのは人と考えた。関わる全てのスタッフが眼科専属で、患者と共に病気を治していこうとする心構えを皆が共有し表現することは、様々な局面で患者の安心感に繋がる。その上で、患者を包む治療環境としての医療環境、人的環境、物的環境を強く意識した環境整備をおこなった。こういった私たちの試みとその効果について紹介する。

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