総合健診
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眼底写真から診断がついた弾性線維性仮性黄色腫の2例
竹下 哲二
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 2024-30

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抄録

【目的】眼底写真から診断がついた弾性線維性仮性黄色腫(以下PXE)の2症例を経験したので報告する。

【症例】症例1は60歳女性。脳梗塞を発症し、1年後に視力低下で上天草総合病院眼科(以下当科)を受診。眼底写真を撮影し、両眼のうっ血乳頭と視神経乳頭からの出血を認めた。出血は2週間後に消退し、右眼視神経乳頭から伸びる網膜色素線条(以下AS)を認めた。皮膚科で皮膚の生検が行われPXEの確定診断となった。症例2は66歳男性。他医で視野欠損のために正常眼圧緑内障の診断となり緑内障点眼薬が処方されていた。当科初診時に眼底写真の撮影を行った。両眼にASを認め、皮膚科紹介し生検の結果PXEの診断となった。

【結論】PXEは全身の血管に病変を来たし、様々な障害を起こす。診断にはASの存在が必須であるが、眼底写真を判読する医師にPXEの疾患概念が無ければ、ASの存在に気づいても診断に至らないケースもあると思われる。健診や人間ドックにおいて、眼底写真を判読する医師がASの存在に気付いた場合、首の皮膚の所見を確認し、積極的に皮膚科への紹介につなげるべきと思われる。

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© 2024 一般社団法人 日本総合健診医学会
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