総合健診
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75gOGTTに基づいた病型とHbA1c基準値
―健診センターの立場からみたHbA1c基準値―
尾内 善四郎藤田 美保子小柳 美津子国丸 茂樹
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2002 年 29 巻 5 号 p. 899-903

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抄録
目的: 健診に適したHBAlcの基準値を求めること。方法: 従業員の健診で尿糖陽性または空腹時血糖値110mg/dl以上に75grトレーラン負荷試験 (OGTT) を行い, 平成11年からHbAlc測定を加えた。
平成10年からの4年間について, 基本的には年1回のOGTTを行い, 内, 正常型, 正常高値型, 境界型, 糖尿病型と, 空腹時血糖値140mg/dl未満および負荷2時間値240mg/dl未満の薬剤未治療域糖尿病を検討対象とした。他病型への移行の有無により細分類し, 各群のHbAlcの分布, 平均値, 標準偏差を求めた。なおHbAlcの測定は免疫比濁法を用いた。結果: 対象は延べ患者数946名, 延べ検体数1460であった。正常型のHbAlcは4.7±0.3%, 正常高値型は4.8±0.3%, 境界型は4.9±0.4%, 糖尿病型は5.1±0.4%, 糖尿病は5.4±0.4%であった。正常型に対し, 他病型はいずれも有意に高値であった (p<0.0005) 。また正常型は初回から2年連続, 他病型は4年間連続同型を保った群 [A病型 (―) ] と他病型へ移行した群 [A病型 (B病型) ] のHbAlcを比較した。正常型 (―) または正常高値型 (―) に比べ, 正常型 (境界型または糖尿病型) は有意に高値であった。また正常高値型 [正常型または (―) ] に比べ, 正常高値型 [境界型, 糖尿病型, または糖尿病] は有意に高値であった。さらに境界型 (―) および境界型 [正常型および正常高値型] に比べ, 境界型 [糖尿病型および糖尿病] は有意に高値であった。正常型 (―) のHbAlcは4.0~5.2%, 正常高値型 (―) は4.2~5.4%, 境界型 (―) は4.5~5.7%, 糖尿病は4.7~6.3%であった。他病型 (―) は正常型 (―) とはいずれもp<0.0005で有意に高値であった。考察: 糖尿病に達していないうちは耐糖能異常の病態の変動は大きいが, HbAlcは予後の推定に役立つ。また終始正常型を呈する場合, すなわち健常者のHbAlcは4.6±0.3% (4.0~5.2%) であった。結語: 健診にHbAlcを使用する際, 5.3%以上では耐糖能異常を疑う必要がある。
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© 日本総合健診医学会
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