総合健診
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Helicobacter pylori除菌後の胃X線像の検討
奥田 順一白木 勝彦野原 利文渡辺 一敏
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2003 年 30 巻 3 号 p. 329-333

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抄録

直接胃X線像によるHelicobacter pylori (H.pylori) 除菌診断の可能性をH.pylori除菌成功前後の胃X線像から検討した。胃X線像の所見として, 除菌前と除菌成功1年後の背臥位二重造影像のひだの幅, 胃底腺粘膜の胃小区型 (胃小区型) , 胃底腺・幽門腺境界型 (腺境界型) , 造影剤の壁付着性を取り上げた。
対象は当総合健診センターの経年受診者でH.pylori除菌療法の成功が平成13年度に確認できた8例であった。対象の内訳は男性4例 (平均年齢44.5歳) , 女性4例 (平均年齢41.7歳) で除菌前の診断は胃潰瘍1例, 十二指腸潰瘍・疲痕5例, 慢性胃炎1例, 胃びらん1例であった。
除菌前にひだの幅が測定できたものは8例中7例であり, 測定できた7例全例のひだの幅は縮小していた。胃小区型では前後像で比較し得た6例中4例に変動がみられ, いずれも除菌前の大きな胃小区型F1から小型化したF2, F3型に変動していた。除菌前後の腺境界型の変動では, 8例全例が除菌前後の腺境界型を識別しえたが, 変動例はみられなかった。除菌前と除菌成功後の造影剤の壁付着性の検討では, 除菌前より造影剤の付着性が悪化した例はなかった。評価判定は良・やや良・やや不良・不良の4段階評価とした。除菌前の例で良とした例は8例中4例であったが, 除菌後は8例中7例が良, 1例がやや良と判定された。
背臥位二重造影像の胃体部の粘膜ひだの幅, 胃底腺領域胃小区型, 造影剤の壁付着性を指標としてH.pylori除菌前後の胃X線像を比較することにより, H.pylori除菌診断が可能であると考えられた。

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