総合健診
Online ISSN : 1884-4103
Print ISSN : 1347-0086
ISSN-L : 1347-0086
一IT企業従業員の健康状況・生活習慣調査
新井 俊彦
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 32 巻 6 号 p. 513-517

詳細
抄録

一中堅IT企業で2004年9月の定期健康診断のための問診票から日常の愁訴, 現在治療中の疾患, 生活習慣を集計して, どんな健康上の悩みが多いのか, どんな疾病を持っているのか, 生活上の問題は何かを探った。従業員を男性と女性に分け, 35歳未満の青年と35歳以上の壮年に分けて調べた。
全く愁訴を持たない者は, 男性青年で36%, 男性壮年で41%, 女性青年では11%, 女性壮年では22%であって, 男性に健康と感ずる者の多いことが分かった。逆に, 女性に愁訴が多く, 概して女性は男性の2倍に近いことも分かった。また, 愁訴を持つ者は平均3から5と重複して愁訴を持つことも分かった。最も多い愁訴は「肩こり」で, 男性では約30%, 女性では60%よりやや多く, 年齢によって差はなかった。次いで多いのは「腰痛」で, 男性では約20%, 女性では30~45%に認められた。他に多いものには, 壮年で増加する「視力低下」, 女性に特に多い, 「手のむくみ」, 「疲れやすい」ことが上げられる。「便秘」が男性に多く, 青年の方に多いのは精神的なものの影響であろう。「動悸」, 「息切れ」, 「胸痛」は, 女性では壮年の訴えであるが, 男性では青年に多いのも精神的なものかもしれない。
現在何らかの疾病を治療中の者は青年で5~6%, 壮年で10~18%であった。生活習慣では, 喫煙は男性青年で32%, 壮年で36%, 女性青年で22%, 壮年で17%であった。飲酒は青年では男女とも約50%であったが, 壮年では男性77%, 女性33%であった。定期的に運動している者は男女, 青壮年とも約5%, 十分な睡眠を撮っている者は青年で5%, 壮年で約10%であった。食習慣では, 朝食を必ず食べるのは, 青年男性では39%のみであったが, 壮年男性および女性は50%以上であった。また, 1日3回食べるのも, 青年男性では20%であったが, 壮年男性では49%, 青年女性で44%, 壮年女性で33%であった。また, 間食の習慣は青年男性で20%, 壮年男性で6%, 青年女性で44%, 壮年女性で17%であった。乳製品を摂取する者は女性に多く, 菓子を食する習慣は男性では4~7%であったのに対して, 女性では22~39%であった。

著者関連情報
© 日本総合健診医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top