総合健診
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血液検査の外部精度管理
近藤 弘巽 典之
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2005 年 32 巻 6 号 p. 552-556

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抄録

血液検査領域で臨床診断および健康診断に繁用される項目は限られており, 全血血球計数と白血球分類はその代表的なものである。これらは臨床や健診の現場で欠くことのできない測定項目であり, 高い精密度と正確度が要求されるため, 外部精度評価 (External Quality Assessment; EQA) の実施は不可欠である。
現在, 我が国では日本医師会をはじめ検査技師会など, 多くの団体がEQAを実施している。これらのうち大阪府医師会臨床検査精度管理調査で実施している新鮮血によるEQAと半加工血液を使用している日本医師会EQAの成績とを比較しながら我が国における血液検査EQAの問題点を考察した。
一方, アジア地区では1999年に臨床検査標準化ネットワークが組織され, 2001年にはアジア地域臨床検査国際外部精度管理プログラムが開始され, 現在に至っている。参加国は毎年増加しており, このプログラムがアジア地域において果たす役割は今後極めて大きくなるものと予想される。
ヨーロッパのEQAの現状についても文献的調査を行い, 対象の24か国すべてで全血球計数, 半数で白血球分類のEQAを行っていることが分かった。
カナダ国オンタリオ州のQuality Management Program-Laboratory Services (QMP-LS) 事務所は臨床検査の認可および外部精度評価を行う常置機関である。ここでは各専門領域のコンサルタント検査技師がEQAの企画, 調査後の教育などを行い, 各項目ともに年に2回以上調査を実施している。血液検査では白血球分類を含む自動血球分析, 網赤血球数, 血球形態検査などのEQAを実施している。常設機関であり, 配布試料, 調査後の指導および情報の配信方法などにおいて学ぶべき点は多い。

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