総合健診
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朝食欠食と肥満に関する検討
―朝食欠食する肥満者の食事摂取状況の特徴―
矢野 義記森脇 千夏浅田 憲彦池辺 淑子銅城 順子谷口 邦子
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キーワード: 朝食欠食, 肥満, 食習慣
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2008 年 35 巻 3 号 p. 317-323

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抄録

本研究は, 朝食欠食と肥満に関して検討することを目的として, 朝食欠食者の調査から肥満者の特徴を分析した。
対象は, 平成15年の4月から9月までに人間ドックを受診した男性のうち, 朝食欠食者396名 (平均年齢42.7歳標準偏差±8.5) を対象とした。調査項目は, 食事摂取頻度調査と生活習慣状況調査, 血液検査を行った。調査結果より, 朝食欠食頻度別に1~2日/週欠食, 3~4日/週欠食, ほぼ毎日欠食に分類し, 肥満の特徴を検討するためにBMI25未満 (対照群) とBMI25以上 (肥満群) に分けて平均値の差の検定を行った。
調査結果から, 各欠食頻度の対照群と肥満群で比較したところ肥満群は, 対照群と比較して有意に魚介類の摂取が高かった。また, 有意ではないが, 欠食頻度が多くなるにつれて肥満群のアルコール類の摂取状況が高くなる傾向にあった。1食あたりの摂取エネルギーは, 両群で欠食頻度が多くなるにつれて有意に増加した。血液検査は, 対照群と比較して肥満群の総コレステロール, 中性脂肪, グルコースがいずれも有意に高値を示した。しかし, 欠食頻度が多くなるにつれて対照群と肥満群で血清鉄が有意に低下した。生活活動強度は, 欠食頻度が多くなるにつれて肥満群の3群間で有意に低かった。
以上のことから, 朝食欠食をする肥満者の特徴として, 生活活動強度が低い生活習慣とそれに伴うエネルギー消費量の低下, 欠食そのものによる消費エネルギーの低下, 蛋白質食品の過剰摂取, 1食あたりのエネルギー摂取量の増加, アルコール摂取量の増加が考えられた。これらのことから朝食欠食が肥満に関連する一つの要因になることが示唆され, 欠食を改善することが必要であると思われた。

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