局所温冷感の評価構造が全身温冷感と異なるかを明らかにするため、室温が 4 段階に変化する条件下に 12 名の被験者を曝露し、皮膚温と全身温冷感および 7 部位(額、腹、前腕、手、大腿、下腿、足)の局所温冷感申告 値を得た。平均皮膚温とその変化率を変数とする非定常全身温冷感予測式を用いて、局所皮膚温から局所温冷感 を求めることを試みた。その結果、額、前腕、手、大腿、下腿については、全身と同程度の精度で式が当てはまる ことから全身と同じ評価構造であることが示唆された。その一方、腹や足については式が当てはまらない例が多 かった。腹の皮膚温には若・中年女性特有の傾向が見られ、皮膚温が高く予測値が申告値より常に暑い側の値を示 した。足の皮膚温は、低温曝露後の室温が高い時間帯にも皮膚温が低く、予測値が申告値よりも常に寒い側の値と なる例が多かった。これらの部位については、全身と異なる温冷感の評価構造を持つ可能性が示唆された。