抄録
本研究では共食者の状況,調理空間に着目し,大学生の住まいにおける食の環境の実態を把握し,食の満
足度を向上させる要因を考察することを目的とする。大学生を対象に,アンケート調査を2018 年と2019 年に実
施した。アンケート項目は,調理空間の状況,共食者の状況,住まいの満足度,夕食の満足度等である。以下の
ことが明らかになった。1)キッチン全体の満足度はキッチンの不満改善による調理頻度の向上に関係し,単身群
と同居群ともにキッチンの不満が調理を避ける1 つの要因である。2)同居群ではコンロの口数は3 口,水栓の種
類はレバーにし,単身群ではコンロの口数を2 口又は3 口,コンロの種類はガス又はIH にすると満足度の向上が
期待できる。3)住まいの満足度が高い者はキッチン全体の満足度も高かった。4)世帯形態と共食関係は夕食の満
足度に関係していた。夕食の満足度は,同居群の方が,また共食者のある方が高かった。