抄録
赤を主体とした環境では人は暖かく感じ、青を主体とした環境では涼しく感じるという、色彩が温冷感に及ぼす影響についてのhue-heat仮説がある。色によって温冷感や注視行動が影響を受けるのであれば、寒暑への対応として色に対する注意にも変化が生じる可能性がある。そこで本研究では、やや暑い環境(温度33℃、相対湿度50%)で暖色と寒色を呈示したときの色への注意の大きさの違いを明らかにすることを目的とした。オッドボール課題を用いて、赤と青の画像呈示時における、反応時間、事象関連電位、潜時、オミッション・エラーを比較した結果、条件間に有意な差は認められなかった。本研究で用いた刺激が3色の色画像のみであったため、刺激への慣れや飽きが生じ、課題に注意が向けられていなかった可能性がある。色を増やしたり、文字を用いたりして、課題の難易度を高くする検討が必要と考えられる。