抄録
IgG4 関連疾患は近年注目されている。
今回,病態の解明に寄与することを目的に,第 4 階日本病院総合診療医学会で発表されたIgG4 関連疾患 39 症例を集積,検討,解析した。診断時の平均年齢は 63.0 歳で男女比は 33 : 6 で男性に多く,主訴は顎下腺腫大と糖尿病の悪化,発熱が多く,病変部位は膵,次いで顎下腺,後腹膜,涙腺の順であった。
血中のIgG4 は 907.4 士 846.0 mg/dlで 135 mg/dl以下も 4 例認められた。
PET-CTは 17 例で実施されうち 2 例( 11.8 % )(前立腺,顎下腺,膵臓,リンパ節)で集積が指摘されなかった。ガリウムシンチも 7 例で実施され,うち 3 例( 28.6 % )は集積が指摘されなかった。
生検は侵襲の少ない部位が選択される傾向にあった。組織のIgG4 /IgG細胞比は生検部位別に一定の傾向を認めなかった。薬物治療は 32 例で実施 7 例は経過観察中。
薬物はプレドニゾロンが 31 例。再発は 5 例に認められた。
 1 例で本態性M蛋白血症の合併が認められた。本疾患は多様な症状で発症するため,本疾患を念頭に置いた診療が重要となる。またIgGの値は本疾患のスクリーニングには適さない。