2009 年 10 巻 3 号 p. 499-505
患者別原価計算のデータを集積し、診療科別原価計算と7種類のクリティカルパス使用患者でクリティカルパス別原価計算、DPC 分析、多施設間でのベンチマークの検討を行った。
診療科別原価計算は8診療科で分析した。延べ入院日数、収入、利益(収入−原価)、利益率(利益/収入)、1日あたり1床あたりの利益の順位は項目により大きく異なる。高額な直接材料費を要する2診療科では収益率が低かった。
クリティカルパス別原価計算の検討では未破裂脳動脈瘤クリッピング・頚動脈血栓内膜剥離術には問題点はなかった。ペースメーカー植込術・腹式単純子宮摘出術・幽門側胃切除術・乳房切除術(ドレーン挿入)ではDPC支払い制度改定に対応した在院日数短縮が必要であった。一方、大腿骨頚部骨折・ペースメーカー植込術では高額な直接材料費のために利益率が21.6%・24.1%と低かった。そこで心臓・血管関連材料・整形外科関連材料の標準化と、高品質の製品をより低価格で購入する取り組みを開始した。