抄録
本研究では、都道府県医療費適正化計画の策定過程における組織体制及び情報分析実施状況などを明らかにし、計画策定における課題及び今後のあり方を検討した。
医療費適正化計画策定に関して文献調査したほか、47都道府県の計画担当者を対象に自記式アンケート調査を実施した。
39都道府県から回答があった(回収率83.0%)。都道府県間で計画策定体制及び使用しているデータに大きな違いはみられなかった。委員会・協議会に病院団体が参加している都道府県は半数以下であった。また、計画策定の上で必要性が高いにもかかわらず入手できないデータとして、都道府県別の性・年齢別医療費データのほか、患者調査などの官庁統計の個票などが挙げられた。
地域医療提供の効率化を図るためには、地域連携クリティカルパスの運用など病院が関連する取り組みも重要であり、今後は病院団体からの参加も求められると考えられる。さらに計画策定に必要なデータ分析を迅速に行えるよう、レセプトデータを含めた国が管理する関連データの利用を可能にする措置が必要と考えられる。
今後、国には医療費の伸び率抑制に関する目標設定及び生活習慣病対策の実施状況を踏まえた医療費推計方法の開発、検証等が求められ、都道府県においてはステークホルダーの声が十分反映されるような委員会体制の構築及び情報分析体制の確立が必要と考えられる。