医療安全を確保、促進するためには、医療安全文化の醸成が重要である。医療安全文化の構成要素として、これまでいくつかの概念が提案されているが、定量的評価を目的とした評価ツールはこれまで開発されていない。米国Agency for Healthcare Research and Qualityは施設類型別に医療安全文化評価票を作成し、そのデータを収集、分析し、医療安全向上のための活動に用いている。現在までに開発された評価票には、病院、療養施設、診療所を対象としたものがある。各評価票は職員を回答者とする自記式アンケート方式であり、それぞれ3領域、12カテゴリによって評価する構造を持ち、カテゴリは施設の役割を反映した構成になっている。日本の3病院での試行結果からは、当該評価票の日本での導入の可能性は高いと考えられるが、今後、その信頼性、妥当性について検討する必要があると考えられる。