日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
アンケートを用いた地域医療連携における栄養管理の現状とニーズに関する検討
瀧川 洋史佐々木 富貴子日野 理彦
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2010 年 11 巻 2 号 p. 119-125

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抄録

 医療情勢の変遷に伴い、病院完結型医療から地域完結型医療へと移行しつつある。また、Nutrition Support Team(以下NST)の普及によって栄養療法が見直され、栄養管理の継続も地域医療連携のひとつとなっている。国立病院機構浜田医療センターでは、地域医療連携室が設置されるとともに、NST が稼動している。地域医療連携の充実を目的に近隣施設を対象にアンケートを実施したところ栄養療法への関心が高く、栄養に関する詳細な情報提供が求められていることが明らかとなった。また、栄養管理に関するシステムは未整備であり、栄養評価、嚥下障害評価、食事介助、経腸栄養における注意点に関する調査では、施設・職種間によって重視している項目が異なった。それは職種の相違だけではなく、各施設の特性、施設を利用している患者層の相違にもよると推測された。地域医療施設のニーズに応え、医療連携の充実を図る為に栄養に関する情報提供書の添付、問い合わせ窓口の整備、地域研修会の開催などを試みている。地域連携の充実には、相互の現状・ニーズを把握しながらの双方向性の関係構築が重要であると考えられた。

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