2010 年 11 巻 2 号 p. 126-129
がん診療を受ける際の治療費は高額であるため、患者相談室で治療費についての相談を受ける機会も多い。現在の医療制度では多くのがん診療を行っている病院でDPC(Diagnosis Procedure Combination)包括支払制度が採用されており、同じ疾患で同じ治療を受ければ基本的に全国どこでも治療費は比較的均一となっている。今回われわれは、過去に当院でDPC包括請求を行ったがん入院患者のデータを抽出し、治療内容別に出来高項目の入院日数毎の平均を算出したものを基本として、がんの種類・治療内容・入院日数別での患者の支払う入院治療費の概算を算出した。そしてこれらのデータを独自に開発したシステムに載せることで、「がん治療費概算照会システム」を作成した。このシステムを利用すれば、がんの発生臓器と治療法(手術、放射線、 化学療法)、入院日数を順次クリックしていくことで瞬時に治療費の概算が表示される。これを使うことで、院内の医療スタッフは患者側の要求に応じて、病院内のパソコンで治療費の概算を瞬時に検索することができるようになり、また外部の人でも当院のホームページにアクセスすることでがん治療費の概算を照会できるようになった。本システムは、医療者と受療者双方のがん診療に係わる人たちに有用な情報を提供できたものと考える。