日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
医師支援室の開設効果:医師事務作業補助から医療の質向上に向けての取り組み
中村 隆志古川 佳英子杉本 徹
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2011 年 12 巻 1 号 p. 14-18

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抄録

 医療情勢の変化の中で医師の診察外業務が増加しているが、本来の診察業務に専念できる環境を整えることは医療の質向上のためにも必要不可欠である。済生会滋賀県病院では診察外業務負担軽減策として2009年4月より医師支援室を開設し、院内で医師事務作業補助者(以下、医療クラーク)8名を育成したので、その効果を報告する。

 主な文書業務の月平均件数は、診断書作成1,068件、退院時要約の基礎データ入力1,711件で、診断書類数上位3科の医師1人あたりの残業時間は8.3時間/月短縮した。チーム医療と生涯教育の支援業務は、カンファレンス支援10件/月、学会発表等のための臨床指標の算出5.5件/月、院内研修会や患者教室開催支援2.5件/月および医局会の運営支援を行った。利用した医師を対象に満足度調査を実施し、役立っていると回答した割合は、文書作成82%、退院時要約入力64%、学会等の資料作成支援91%、研修会開催支援84%であった。

 医療クラークの配置による医師の負担軽減により、医師の自己研鑽の充実が可能となる。また臨床指標の統計出力などの支援により医療の質向上にも貢献できる。 さらに、文書作成以外の質向上業務に従事することで、医療クラークのモチベーション維持やキャリアアップも期待される。

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