日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
ヒューマンエラー・マネジメント(HEM)セルフチェックシートを用いた医療安全活動の評価
伊藤 眞奈美田中 滋己山本 初実
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2011 年 12 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

 医療安全活動では、現状を把握することによって施設の問題点や課題を明らかにしながら、適切な対策を立て実行していく必要がある。今回われわれは、医療安全活動の浸透度や組織の活動状態・問題点を評価できるヒューマンエラー・マネジメントセルフチェックシート(HEMシート)を用いて全職員の医療安全に対する知識や活動を評価した。HEMシートは基本概念、雰囲気、チェック体制、事故調査、再発防止、予防体制、戦略性の7つの医療安全に関する知識や活動内容に対する質問で構成されている。2回の調査対象人数は2006年が521名(有効回答数406名:回答率77.9%)で、2007年は579名(有効回答数496名:回答率85.7%)であった。

 2006年と2007年における7つの分析指標の達成度はすべての指標で改善が認められた。職業別に比較すると事務職の医療安全への関心・知識の浸透が他職種を下回った。一方、低意識者層の割合は、2007年にはいずれの指標においても減少し、医療安全活動の一定の成果を示す結果であると思われた。しかし、事務職の率は他職種より高く、医療安全活動の再教育が必要であることが分かった。

 HEM シートを用いた検討で、組織の医療安全活動に対する認識と理解の程度、医療安全対策の枠組みの整備状況など課題が明確になった。

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