2012 年 13 巻 1 号 p. 2-6
がんはわが国の死因の第一位であり、その社会的負担も大きい。本研究は、主要な9部位のがんの社会的負担を Cost of illness 法を用いて推計し、1996年、2002年、2008年の変化を明らかにした。胃がん、肝臓がんの疾病負担は相対的にも絶対的にも減少し、乳がん、子宮がん、肺がんなどは疾病負担が増加した。これらの変化の背景には、患者数や死亡者数の変化だけではなく、平均在院日数の変化、平均死亡年齢の高齢化などの影響が大きいことが明らかになった。がん対策の政策決定では、このような疾病負担、およびその変化についても考慮されることが望ましい。