日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
医療における苦情・クレーム対応のための支援ツールFACEシートの開発
—信頼関係の再構築のために—
林 里都子
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2012 年 13 巻 1 号 p. 22-30

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抄録

 医療における苦情・クレームのより満足のいく解決のために、対話による合意を目指す医療メディエーションの普及が期待されている。それに応えるべく、研修を通してその理論と技法に関する教育が最近開始された。その中で苦情・クレーム対応に必要とされるイシュー、ポジション、インタレストの抽出、すなわちIPI(issue, position and interest)分析が難しいと受け止められているとの印象を持った。そこで、IPI分析を容易にし、しかも苦情・クレームのマネジメントにも役立つ道具として、IPI分析シート(シートI)、IPI 分析の可視化シート(シートII)、マネジメント資料シート(シートIII)の3シートからなる FACE(Fact・Angry・Claim・Emotion:FACE)シートを開発した。

 次にこのシートの有用性について確認するために、看護職の管理業務に携わる80名に対してメディエーション研修直後にアンケートによる調査を行った。各シートの評価はシートIでは92%、シートIIでは74%、シートIIIでは77%の人が有用と回答した。以上より、今回開発したFACEシートは苦情・クレームのIPI分析やマネジメントのためのツールとして、医療現場で有効活用ができると推測された。

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© 2012 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
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