2012 年 13 巻 2 号 p. 54-58
COI 研究(Cost of Illness Study)は疾病が引き起こす損失を貨幣価値に置き換えて示す簡明な方法である。この方法は、疾病の帰結を考えることなく費用のみを計算すること、個々の費用の負担者がはっきりしないことなどから多くの批判を受けてきた。しかし、他の経済評価の方法に比べて計算が簡単なため、アメリカやニュージーランドなどでは政策決定に用いられてきている。COI 研究は、多くの理論的な批判を受けながらも、理論的な枠組みを変更するより、むしろ信頼性、再現性、相互比較性を担保することにより、政策決定のための道具としてその地位を確立してきたといえよう。