2012 年 13 巻 3 号 p. 123-126
退院支援への病棟看護師の関わりを推進する方法を明らかにするために、急性期病院一般病棟の看護師253名の意識調査を行った(回答率84.6%)。重回帰分析によると、退院支援の要否判断には介護認定の確認、療養上の問題点把握、病棟勤務年数が有意に影響していた。病棟勤務年数は、患者不安の傾聴、退院後注意点の説明、患者の退院を目標とすることと正の相関を示した。そして、退院を目標とする看護師は、統計上有意に家族構成・同居者および介護認定を確認せず、退院後生活の希望を尋ねず、退院後注意点の説明ができていなかった。実践できる能力があることと実践することは別であると示唆された。
退院支援において、退院後の生活を考慮に入れた患者の情報収集と適切な退院指導は重要であり、継続看護の視点を持つことが求められる。退院支援の推進には、病棟看護師が患者の退院のみを最終目標としないことが大切である。