近年、外来がん化学療法患者が増加しており、これらの患者の総合的な薬物療法管理を地域で行うことは薬剤師の重要な役割となってきている。本研究では、外来がん化学療法において薬物療法管理を薬剤師が行うための有用な対策を検討するために、病院薬剤師26名と薬局薬剤師69名を対象とした質問紙による調査のデータに基づいてポートフォリオ図を作成した。ポートフォリオ図では、薬局薬剤師と病院薬剤師におけるがん患者に実施する11項目の薬物療法管理業務に対する3つの障害要因(マンパワー不足、患者情報の不足、知識不足)の影響を示した。病院薬剤師において「マンパワー不足」と「患者情報の不足」への対策が必要な5つの業務と、薬局薬剤師で「患者情報の不足」への対策が必要な6つの業務が示された。これらの結果から、外来がん化学療法において使用する「薬物療法パスシート」を作成した。このシートは、薬剤師が患者や他の医療者と協働して、シームレスな副作用モニタリング、相互作用チェック、服薬モニタリングという薬物療法管理に活用できる可能性がある。