日本医療マネジメント学会雑誌
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総説
佐世保・県北医療圏における地域医療の課題と展望
江口 勝美
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2013 年 13 巻 4 号 p. 175-179

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抄録

 佐世保・県北医療圏は人口が減少し、少子化が進行し、高齢者の増加が既に始まっている。今後、高齢者・超高齢者の増加と相まって、独居老人、認知症、多疾病を保有する高齢者が増え、地域医療にとって重要な課題となる。

 佐世保市立総合病院はこれからの諸課題を戦略的に克服していくことを念頭に運営している。第一には安全・安心且つ高度先進医療の提供である。地域医療支援病院として地域の診療所・病院と連携しながら、地域完結型医療の具現に努力している。本院でも「あじさいネット」を開始して、将来は診療支援機能だけでなく、病薬連携、病々連携、離島支援・救急医療支援システムの構築などと拡大していく計画である。また、本院は救命救急センターを開設し、救急医療の核として、小児・周産期救急患者、離島・へき地の救急患者の最後の砦として稼働することを目指している。

 第二は優れた医療人の育成、最高の人材が広く集まる病院を目標に掲げている。医師・看護師など医療人不足は深刻である。本院は地域医療研修センターを組織し、初期・後期研修医だけでなく、看護師、技局、事務部の医療に対する質の向上を目指している。

 第三は地域医療の質の向上への貢献である。地域完結型医療を遂行していくには、地域全体の医療の質の向上が必須である。本院を含め基幹病院が介護・在宅まで継ぎ目のない医療の提供を可能にするようにしなければならない。

 第四は経営基盤の安定した病院である。自治体病院といえども、安定した経営基盤があってこそ、良質な医療が提供できると考えている。

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