日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
手術標本整理室内のホルムアルデヒド濃度低減対策
青山 広希宮田 完志湯浅 典博小林 陽一郎
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2013 年 14 巻 2 号 p. 68-71

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抄録

 ホルムアルデヒド(FA)は皮膚や結膜・気道粘膜への刺激症状や、発癌性など人体に様々な障害をもたらすが、これまで手術標本整理室内のFA濃度には充分な注意が払われてこなかった。2008年3月、わが国では特定化学物質障害予防規則の改正により、FAが特化則第3類物質から第2類物質に変更された。名古屋第一赤十字病院の中央手術室の標本整理室内のFA濃度は規定以上の値であったので、室内FA濃度の低減対策を講じた。FA濃度高値の原因は、1)能動的な排気システムが不足していたこと、2)FA給所と標本整理作業スペースが離れておりFAの限局的な取扱いがなされていないこと、3)標本整理のための作業スペースが狭く、FAを取扱っている時間が長いこと、4)FAを入れる標本収納容器の密閉性が不十分であったこと、などであった。以上に対して次のような対策を実行した。1)FA作業台上に集中排気システムを導入し室内の排気量を上げた。2)FAの取扱いを集中排気システム周囲に限局化した。3)新たに標本整理の作業スペースを確保して、標本整理作業を安全かつ短時間に行えるようにした。4)FAを入れる標本収納容器を密閉性の高いものに変更した。以上の対策により、手術標本整理室内のFA濃度は規定の1/10未満となった。標本整理室内のFA濃度を低減する我々の対策は比較的安価かつ有効であり、労働災害から外科医を守ることに寄与すると考えられる。

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