日本医療マネジメント学会雑誌
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原著
病院における医療安全管理体制整備の状況と課題
2004年調査と2011年調査の比較検討から
伊藤 慎也藤田 茂北澤 健文吉田 愛飯田 修平西澤 寛俊長谷川 友紀
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2014 年 15 巻 1 号 p. 2-8

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抄録

 種々の施策により医療安全管理体制の整備が進められてきたが、体制の整備状況は明らかになっていない。2回のアンケート調査間の体制整備の進展状況、施策の効果、問題点及び今後の課題について明らかにした。

 全日本病院協会の全会員病院を対象(2004年:2,108病院、2011年:2,290病院)に郵送法による無記名自記式の調査を実施した。300床未満の急性期病院、300床以上の急性期病院、療養型病院に分けて解析した。

 回収率は2004年が24.0%、2011年が27.6%であった。2004年から2011年にかけて、300床以上の急性期病院では専従の医療安全管理者、300床未満の急性期病院、療養型病院では専任の医療安全管理者の配置が進展した。2011年の専従/専任者の配置割合は、300床未満の急性期病院が46.1%、300床以上の急性期病院が92.9%、療養型病院が24.5%であった。急性期病院では専従者の配置、療養型病院では専任者の配置により、活動面が改善することが示唆されたが、300床未満の急性期病院では、専任者の配置のみでは十分な効果が見られなかった。

 300床未満の急性期病院、療養型病院における専従/専任者の配置促進のための更なる支援策と、専任者を対象にした教育研修の充実、報告事例の活用を活発化させる方法、重大な医療事故の減少につながる活動や体制、支援策等を検討する必要があると考えられた。

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