日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
ノロウイルスによる病院集団食中毒の経験:その対応と評価
若林 ゆかり久保田 早苗荒神 裕之工藤 貴弘室 大輔坂井 暢子
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2014 年 15 巻 1 号 p. 35-38

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抄録

 病院給食が原因と推測される患者・職員のノロウイルスによる集団食中毒を経験した。2013年2月7日朝、嘔吐・下痢症状が複数の病棟・部署の患者・職員にまたがって発生しているとの報告があり病院給食によるノロウイルス食中毒と判断し、午後に保健所に報告、当日18時30分に厨房閉鎖を行った。また、21時30分より救急車受け入れおよび新規入院を停止、緊急手術を除く手術の中止を決定した。感染対策室を立ち上げ感染の拡大を防ぐとともに、ここが中心となり保健所対応、マスコミ対応の準備も行った。また感染終息まで連日、診療科トップと各部署責任者でミーティングを行い、発生状況の確認と情報の伝達をし、状況を主治医・担当看護師から直接患者に説明するようにした。厨房が閉鎖されたこと、調理担当職員からノロウイルスの排泄が認められたことにより調理・配膳が困難であったため、患者食はあらかじめパックされたレトルト食品を使用した。再発防止のため厨房のハードおよびソフトの問題点を洗い出し、新マニュアルを作成し、栄養科職員の訓練を行った。厨房閉鎖期間中は全入院患者に対して食費の請求は行わなかった。また、発症者に関しては発症から症状消失4日までの診療費の請求中止および見舞い金支給を行った。

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