日本医療マネジメント学会雑誌
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病院情報システムの導入状況と病院経営における役割についての検討
瀬戸 加奈子松本 邦愛北澤 健文藤田 茂花岡 晋平長谷川 友紀
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2015 年 16 巻 2 号 p. 75-81

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抄録

 医療の高度化、複雑化、国民の医療に対するニーズの多様化により、病院情報システム(Hospital Information System、HIS)を導入する病院が増加している。HISでは、導入後の期間、進展度により医療者の満足度が異なり、システム導入目的が変化するなど、病院経営におけるHISの役割が変わると想定される。

 本研究では、2006年時点にHISを有する病院を対象に2008、2010年の2回アンケート調査を実施し、情報統合と共有レベルの進展度、満足度、システム導入目的、病院経営上のHISの役割の変化を検討した。

 有効回答率は、2010年調査31.1%(488/1,567)、2008年調査20.3%(328/1,616)であった。2010年は2008年と比較し電子化及びペーパーレス化が進んでおり、満足度は、導入期間よりHISの進展度に影響されることが示唆された。導入目的では、病院全体のサービスや質の向上等をあげる病院が多かった。導入成果は、ペーパーレス化の病院で高い傾向にあり、HISの進展により成果が高くなると考えられた。導入目的と進展度の関係では、①病院経営上より重要な役割を担い、かつ達成度が高まったもの、②役割は変化しないものの、業務効率向上が達成度上昇をもたらしたもの、③役割、達成度ともに変化しないものに大別された。

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