2016 年 17 巻 2 号 p. 83-87
日本の看護師に対する現行のWLB(ワーク・ライフ・バランス)施策は、家族役割のある者の福利が最優先されており、単身看護師に業務の皺寄せが生じている可能性がある。本研究は単身看護師のワーク・ライフ・バランス(以下 WLB)の現状と、WLBの実現に望ましい労働条件を明らかにすることを目的とし、看護師15,025名を対象に無記名自己記入式質問紙調査を実施した。単身看護師と非単身看護師を比較した結果、単身看護師はより過重な労働条件を強いられ、心身共に疲弊しており、WLBを実現しにくい現状にあることが示された。特に夜勤回数の増加と残業時間の延長は、単身看護師のWLBを阻害する要因であることが明らかになった。今後の看護組織においては、働く者全ての福利を目指すWLB本来の理念に立ち返り、単身看護師のニーズも考慮した包括的なWLB施策を整備していく必要があることが示唆された。