2017 年 18 巻 1 号 p. 13-18
2型糖尿病患者の重症低血糖発症を減らすことを目的に、多職種連携による糖尿病チームを立ち上げ、近江八幡市立総合医療センター(以下当院)医療者と地域診療所医師及び当院糖尿病外来通院患者に対し、低血糖の予防と対処方法についての知識向上を通して重症低血糖の発症を減少させることができるか否かを検討した。
2010年4月〜2013年3月の3年間において、重症低血糖で当院に救急搬送となった2型糖尿病患者82名において発症時の年齢、HbA1c、e-GFR、治療内容及び季節との関係を検討した。次に当院の医師、看護師及び糖尿病外来患者に対し、低血糖に対する知識調査を行い、正しい答えを伝えることで、低血糖に対する知識の向上をはかった。活動終了後1年5ヶ月間の重症低血糖の患者数の増減を調査した。
今回の検討の結果、患者の年齢や生活背景、合併症の有無に応じた血糖コントロールを目指すことが重要であることが明確となった。医療者及び患者の知識調査の結果からは、夜間低血糖に対する知識不足が明確になったため、この点の正しい知識の普及に努めたところ、重症低血糖患者数を減少させることが可能となった。
チーム医療とは、多種職の医療スタッフがそれぞれの専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつ、お互いに連携・補完し合い、患者の状況に対応した医療を提供することであり、今回のこのような取り組みを継続させることでよりレベルの高いチーム医療が実践できるものと考えられた。