日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
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原著
日本における認知症による家族の介護負担
官庁統計を用いた経時分析
花岡 晋平松本 邦愛北澤 健文藤田 茂瀬戸 加奈子長谷川 友紀
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2017 年 18 巻 1 号 p. 8-12

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抄録

 本研究では、わが国の認知症による家族の介護負担(家族等による居宅や地域での日常生活上の「無償のケア」)と介護保険による介護サービスを、官庁統計から貨幣価値として推計し、その経時的変化を明らかにした。2001年から2013年にかけて、認知症が主因となり、居宅や地域で要支援・要介護認定された被介護者数は約25.1万人から81.0万人へ3.22倍に増加した。要介護度は平均3.0から2.3へ低下し、介護時間は平均7.0時間から5.4時間へ減少し、介護単価は1,155円から1,042円へ減額していた(機会費用法)。その結果、介護サービス費用は0.93兆円から1.76兆円と1.88倍に対して、家族の介護負担は0.66兆円から1.49兆円と2.24倍に増加した。介護負担の総額に占める家族の介護負担の割合が41.6%から45.8%へ上昇した。現行の脱施設化政策により、居宅や地域での家族の介護負担が増大したためと考えられる。将来的に新たな介護離職者が増加すると予想されており、機会費用の低廉な「老老介護」による増加分への対応も限界に達している可能性がある。そのため、家族等が受容可能な範囲を超えないように、いかに将来に向けて介護サービスと家族の介護負担のバランスを取るのかが重要な政策課題である。

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© 2017 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
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