日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
リハビリテーション・プログラムの工夫により、回復期リハビリテーション病棟における脳卒中の在院日数を45日に短縮
三好 正堂篠原 敦
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2017 年 18 巻 3 号 p. 167-170

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抄録

 高齢化社会を迎え、リハビリテーション(以下、リハビリ)を要する患者が急増している。できるだけ多くの患者を迅速に受け入れるためには、回復期リハビリ病棟の在院日数を短縮する必要があり、そのためにはリハビリ・プログラムも工夫しなければならない。

 入院時の説明で、脳卒中のリハビリは2ヶ月で完了できること、その後はできるだけ自宅へ退院し、次の患者にベッドを譲ってほしいと説明した。プログラム:理学療法では麻痺肢の治療でなく、非麻痺側下肢の強化に主眼を置き、1日400〜600回の起立-着席運動を行った。これは集団訓練を行うと容易であった。作業療法では、麻痺手の機能回復とともに、移乗、車いす駆動などで下肢の強化に力点を置いた。ADLの回復は下肢強化で自動的に可能になる。言語摂食療法では言語療法に限定し、嚥下訓練は行わなかった。エビデンスの得られた嚥下訓練はほとんどないためである。時間にして1日4時間理学療法/作業療法の訓練室に留まるようにした。

 われわれの回復期病棟で治療した脳卒中自験例(254例)と、全国調査(9,041例)との成績を比較した。入院時FIMには差がなかったが、退院時FIMは自験例94.6点、全国調査88.3点、平均在院日数は自験例45.0日、全国調査81.3日、自宅退院率は自験例80.3%、全国調査66.3%で、それぞれ差がみられた。

 非麻痺側下肢の筋力を強化し、運動量を増やすプログラムにより、在院日数を短縮することができた。

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