2018 年 19 巻 1 号 p. 16-19
急性期病院として在院日数の短縮は病院経営上必要不可欠である。国立病院機構福山医療センターの特徴の一つである癌診療、特に消化器癌について入院期間延長の検討を行った。2015年1月〜2016年12月の消化器癌として代表的な胃癌手術、大腸癌手術症例に絞って検討を行った。胃癌手術(GC)は136例、大腸癌手術(CC)は266例あり、術後平均在院日数はGC 20.0日CC 18.0日であった。DPC入院期間 II 越えはGCでは57例(42%)、CCでは105例(39%)あった。GCではバリアンス分類に従って分析すると患者要因45例(79%)あり、内いわゆる術後合併症に起因するものが約半数を占めた。転院件数は2015年4件、2016年8件あった。DPC入院期間II 越えは2015年35例(50%)あったが、前方支援などによる術前日数の短縮、合併症の予防及び後方連携につとめ2016年には22例(33%)に減少した。CCでは同じく要因分析では患者要因97例(92%)あり、合併症によるものが約半数をしめた。転院件数は2015年7件、2016年15件あった。CCでも合併症予防や後方連携の活用により、DPC入院期間 II 越えは2015年68例(51%)から2016年には37例(28%)に減少した。近年は高齢化に伴い、基礎疾患を持つ患者、また狭窄など高度進行状態で入院となる患者も少なくない。さらなる在院日数の短縮には前方連携の活用、より合併症の少ない手術などが求められる。