日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
当センターの摂食嚥下チームによる誤嚥性肺炎予防の取り組み
森田 曜
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2018 年 19 巻 2 号 p. 81-85

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抄録

 2011年肺炎が疾患別死亡の第3位となった。入院をともなう肺炎の50%以上が誤嚥性肺炎であるとも報告されている。今後の超高齢社会において、その予防は必要不可欠である。近江八幡市立総合医療センター(以下当センター)においても誤嚥性肺炎患者は経口摂取困難となることが多く対応に苦慮している。そのため、2014年度より摂食嚥下チームにて誤嚥性肺炎予防の取り組みを開始した。最初に誤嚥性肺炎患者数を集計し、現状を検討した。その結果から、誤嚥性肺炎患者の嚥下機能、栄養状態は悪く、その予防に関しては地域と連携した取り組みの重要性が明らかになった。また、当センターにおいて誤嚥性肺炎再発のリスクが高いにも関わらず口腔ケアが必要な患者の評価・抽出基準が曖昧であった。従ってこれらの課題をふまえ、口腔内評価スケールの導入・フローの作成、地域公開型の摂食嚥下勉強会の開催、特別養護老人ホーム(以下特養)での摂食嚥下アンケートを実施した。その結果、口腔内評価スケールに基づくフローの作成により、口腔ケアが必要な患者の抽出基準が明確となった。摂食嚥下勉強会の開催により、誤嚥性肺炎予防に対する啓発ができた。摂食嚥下障害に対するアンケートでは、専門的な嚥下評価に対するニーズが高いことが判明した。今後は口腔内評価精度向上、早期から嚥下障害患者を抽出する取り組みを、当センター外では特養での具体的な取り組みを開始していく。

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