日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
心理的バイタルサイン(Psychological vital sign:PVS)に職業性ストレス簡易調査票を併用したメンタルヘルスチェック
鈴木 里奈河合 優年山本 初実
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2018 年 19 巻 2 号 p. 98-102

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抄録

 これまで我々は、 ストレス自己統制尺度、 気分尺度、 心理特性、 ストレス値で構成した心理的バイタルサイン (Psychological vital sign:PVS© Mie-chuo MC) を心の健康度を表す指標として使用してきた。 一方、 厚生労働省は2016年度から従業員50名以上の事業所におけるメンタルヘルスチェックを義務化し、 職業性ストレス簡易調査票の使用を推奨している。 本研究では、 この職業性ストレス簡易調査票を新たな気分尺度として組み込んだ PVS セルフチェックシステムを開発し、 2016年11月に国立病院機構三重中央医療センター職員778名のメンタルヘルスを調査した。 結果は、 診療部、 看護部、 その他の医療職、 事務部の 4 部署別に、 一元配置分散分析と多重比較を用いて統計学的に検討した。 看護部では、 ソーシャルサポートが高く、 職場環境によるストレスは低いものの、 身体的脆弱性・心理的脆弱性・情動焦点対処の得点が高く、 心理的な仕事の量的・質的負担がイライラ感・疲労感・不安感・抑うつ感・身体愁訴などの自覚的な身体的負担に繋がっているものと推測された。

 簡易調査票はストレスの強弱を判断するのに優れているが、 ストレス自己統制尺度を含む PVS は職場環境改善の視点から、 コーピング方略を兼ね備えた実用性のあるセルフチェックシステムの一つであると思われた。

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