日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
注射剤調剤業務効率化と業務マネジメントによる新たな病院薬剤師業務の実現
松本 浩明奥田 敏勝髙栁 和伸
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2018 年 19 巻 2 号 p. 92-97

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抄録

 病院薬剤師はこれまで以上に病棟業務やチーム医療での活躍が期待されている。しかし、従来から行ってきた業務を維持しつつ新たな業務に取り組むためには薬剤師の数が不足しており、十分な活動時間を得られていない施設も多い。倉敷中央病院も同様の問題を抱えていたが、従来行ってきた業務の一つである注射剤調剤業務を根本的に見直し、業務効率を上げることで新しい業務を推進できないか検討した。

 まず、従来の注射剤調剤業務について、Root cause analysis(RCA)法に倣い後方視的に業務の内容を細かく分析し、根本的に改善すべき課題を明確にした。その後、業務の標準化と効率化、在庫管理と物流プロセスの見直し、医療の質指標(QI)を用いた疑義照会の向上の取り組みを行うことで、注射剤調剤業務に必要な薬剤師数を27名から18名へと削減した。その結果として、病棟業務や外来化学療法センターの服薬指導などの新しい業務を推進することができた。加えて、在庫金額は約3,400万円減少し、疑義照会件数は2013年度の776件から2015年度には1,999件に増加した。

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