2001 年 1 巻 3 号 p. 219-222
手術部位感染Surgical Site Infection (SSI) 率の標準化には、手術時間・創分類・ASA physical statusの3要素を用いるNational Nosocomial Infection Surveillance (NNIS) SSI Risk Indexが世界的に普及している。本研究では同lndexのわが国での評価を目的とした。
Japanese Nosocomial Infection Surveillance (JNIS) systemの参加8施設にて収集された大腸、胆嚢、胃、および胆管・肝・膵臓手術症例、合計963例を対象とし、SSIについて多変量解析を実施した。
SSIは963例中51例 (5.3%) に、平均8.2±4.7日目で発生していた。多変量解析でSSIと関連があったのは、創分類 (OR: 7.13, 95%CI: 3.10-16.42, p=0.0001) と鏡視下手術であった (OR: 0.09, 95%CI: 0.01-0.83, p=0.0334) 。
同lndexの3要素は同じ重みで用いられているが、消化器外科手術のSSI率を調整する上で、最も重要なものは創分類であった。今後、より詳細な分析を実施し、適切なリスク調整手法を開発する必要がある。