糖尿病クリニカルパス導入前後での臨床成果を検討した。いずれも、重症合併症を伴わない糖尿病入院患者を対象としている。血糖コントロールの指標としてHbA1cを用いた。パス導入前後で、入院時点のコントロールは同程度に悪く、退院時には同程度に良くなっている。入院期間中の血糖管理が的確に行われていることがわかる。ところが、退院後6ヶ月では、パス入院患者群 (n=41) の方が、パス導入前の患者群 (n=40) よりも統計学的に有意にHbA1cが1%さがっていた。このことは、パス入院の方が、退院後も自己管理がきちんとできている患者が多いことを示している。入院中の糖尿病学習がより充分でき、病識を高めて、よりよい生活習慣をおこなう意欲をもち続けることがパス入院から得られたと考えられる。パス導入前の糖尿病入院患者 (n=155) およびパス入院患者 (n=115) の平均在院日数は各々31.7日、25.7日であり、パス導入による糖尿病入院在院日数の短縮を認めた。また、オーダリングシステムにクリニカルパスのオーダーを組み込んだ糖尿病e-パスは曜日別に登録してあり、曜日別の使用頻度がわかる。入院時、一括してオーダーすることができ、その利便性は評価できる。