医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6793
Print ISSN : 1345-6903
ISSN-L : 1345-6903
クリティカルパスの進化と功罪
心臓カテーテル検査への導入
石橋 克彦平賀 裕之國田 俊郎田中 民子伊藤 きみ子光波 康壮
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 2 巻 2 号 p. 179-185

詳細
抄録

近年我が国でも患者サービスや医療の質の向上をあざし、クリティカルパス (以下CP) が急速に普及しつつある。我々は心臓カテーテル検査に導入していたCPに見直しを加え、医師指示・看護記録を一体化した進化型CPを作成施行した。その評価のため半年間の使用ののち看護スタッフにアンケートを行った。また同時に患者アンケートも集計し、両者の意識を検証した。
患者アンケートにみる患者のCPに対する満足度は極めて高かった。CPにより検査への不安が軽減したとの意見も多く、CPが情報開示ツールとして非常に有益であることが明らかになった。
看護スタッフアンケートによると、医師指示をCPに組み込むことについては、指示が検査や経過に沿っているため把握しやすい等、良好な評価であった。看護記録の一体化とフローシートの採用についても評価は高かった。そのメリットとしては記録時間の短縮や観察項目の漏れの減少などがあげられており、まさにCPによる医療の効率化と均質化が具現化していた。だが一方で、患者への接し方が画一的となってしまう不安等も寄せられていた。今回、看護記録としてフローシートの他に追加記事記載欄を設けたが、このシステムには7割を越す賛同を得た。
CPは成果医療を実行するためのものであり、その本質は効率化と合理化である。しかし効率化を求めるあまり患者個々の問題が見失われることのないよう、細心の注意が必要である。

著者関連情報
© 医療マネジメント学会
前の記事 次の記事
feedback
Top