抄録
目的: 医療の標準化やチーム医療の推進、コスト管理を目的に多くの施設でクリティカル-パス (クリニカル-パスclinical pathway: CP) が導入されている。我々の施設で現在胃癌に対して行う手術で最も多い術式は鏡視下幽門側胃切除術であるが、この手術は、手術コストが高いという欠点があるのに対し、術後の回復が早いという利点がある。したがって、回復の早さのメリットを効率的管理で生かし、手術コストの差を吸収できるのではないかと期待される。症例数の多い鏡視下幽門側切除 (LDG) 用のCPが周術期管理にもたらした影響について検討した。
症例、方法: CP導入前と導入後の腹腔鏡下幽門側胃切除術症例について、手術侵襲、経口摂取、離床、入院期間、総入院費用を比較検討した。
結果: 手術侵襲に明らかな差が無かったが、食事開始は有意に早くなり、術後入院日数が短縮し、総入院費用が減少した。入院期間に影響したバリアンスは、44.0%と高率に発生した。
考察: 鏡視下胃切除術は、開腹手術とくらべ、時間とコストを圧縮した管理が可能で、CPを導入するメリットが大きい。バリアンス発生率の高さは、消化管を切除吻合する手術を稠密な日程で管理する困難さを感じさせたが、CP導入の目的を考慮するとやむを得ない面がある。結論鏡視下手術のような手術コストは高いが回復の早い手術に関しては、効率的な術後管理をCPで誘導することにより、その利点が充分発揮される。