抄録
継続的に看護サービスの質を評価するため、有害事象の発生件数を把握する方法について、正確さとコストの面から検討した。東京都区内の中規模病院を対象とし、平成12年7月から11月にかけて、与薬ミス、転倒・転落、チューブ類の予定外抜去、褥創、皮膚障害、身体的抑制、院内感染の発生件数について、インシデントレポート、ログ、チェックリスト、看護婦聴取、与薬ミスの質問紙調査、温度表参照、尿白血球検査、患者観察聴取、診療録等の参照によって調査した。各方法で把握した有害事象発生件数とデータ収集に要した時間を比較した結果、インシデントレポート、チェックリスト、看護婦聴取、温度表参照、尿白血球検査、与薬ミスの質問紙調査を行うことによって、簡便にほぼ正確な発生件数を把握できることが明らかとなった。しかし、質指標として用いるのに適切な発生率の計算方法や期間を明らかにするには、より長期のデータを多施設で収集する必要がある。