医療マネジメント学会雑誌
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パーキンソン病の外来診療用クリティカルパス
informed decisionを支援するための情報提供ツール
荒井 元美山口 弥生後藤 静生大園 真理子米沢 敬子武田 豊子
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2002 年 3 巻 2 号 p. 267-271

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抄録

パーキンソン病は慢性進行性の疾患である。患者さんが受ける医療サービスについて自己決定 (informed decision) を行えるように、必要な知識や情報の入手を支援するためのクリティカルパス (CP) を開発した。
外来通院するパーキンソン病患者117名を対象として、疾患に関する知識や情報の入手方法などについてアンケート調査を行い、114名から回答を得た。病気の経過や将来の見通しをもっとよく知りたいと答えた人は60.5%で、他の情報内容に比べて有意に多かった。ヤール病期を時間軸にして、疾患についての全体像を俯瞰的に理解するために必要な知識や情報のキーワードと、詳しい情報が必要になった場合の相談窓口を記載したCPを作成した。
CPを受け取った117名にアンケート調査を行い、103名から回答を得た。ある事柄についてCPを読んでよくわかるようになったと答えた人の割合は、「病気の症状と合併症」が66.0%、「病気の経過や見通し」が56.3%と高かった。詳しく記載しなかった事柄については30%台と低かったが、その相談窓口がわかるようになったと回答した人は40%を越えた。ある事柄についてもっとよく知りたいと答えた人のうち、CP配布後にわかるようになったと回答した人の割合を患者満足効果の指標とした。
病気の症状と合併症、病気の経過や見通し、福祉制度・介護サービスについて満足度が高く、短期的な有用性が確認された。

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