医療マネジメント学会雑誌
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混合病棟における薬剤師常駐による適正医療の推進
加藤 知次伊藤 誠一河井 和子磯谷 聡伊藤 和幸伊藤 達雄
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2002 年 3 巻 2 号 p. 293-297

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抄録

医療事故は軽微なものを含め年々増加傾向にある。その防止対策は病院全体として取り組む必要性がある。当院では1998年以降, 薬剤師が全入院患者を対象に, 薬剤管理指導業務を実施している。病棟薬剤師は患者背景を把握した上で, 指示・処方監査を行い, 不適切な指示・処方を未然に防止している。このことは医薬品の施用による事故の予防に大きく貢献している。
今回, 混合病棟において6ケ月間, 約8,500枚の注射処方, 内服処方を検討した結果, 165件の不適切な指示・処方が認められ, 指示・処方の変更がなされた。165件のうち, 56件は他院および, 当院内服胃薬の重複で, 12件は注射薬と内服薬の重複という比較的軽微な事例であった。しかし, 腎機能低下時の過剰投与例12件, 禁忌投与例9件, アレルギー患者への当該薬剤投与例5件, 注射薬の配合変化処方4件, 手術に影響を及ぼす薬剤の継続投与3件など, 重大な医療事故につながりかねない事例を未然に防ぐことが出来た。
病棟薬剤師がリスクマネージャーとして積極的に職務を果たすことで患者の安全を守り, より信頼される病院となり得ると確信する。

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