抄録
わが国の医療にクリティカルパス (以下、パスと記す) が持ち込まれてから5年が経ち、病診連携や医薬品情報提供など病院を超えて広く活用されるようになった。今後は、保健医療分野の情報化の一環として、パスを電子カルテに組み込むことが期待されるが、そのたあにはパスに用いる用語・コード体系を標準化することが必要となる。そこで、文献から既存のパスを抽出し、標準化ケアカテゴリーの試案を作成した。
文献上、一つのパスは平均13.3±6.36個のケアカテゴリーで構成されていた。半数以上のパスで用いられているケアカテゴリーは、出現頻度順に「検査」「食事」「排泄」の3個であった。同様に25%以上でも「清潔」「栄養」「安静度」「処置」「指導」「リハビリ」と計9個であった。これらは、医療情報システム開発センターや専門学会によって標準化が進められている項目もあるが、領域横断的な用語、診療報酬との関連性が低い用語、日常生活支援に関する用語では標準化が遅れる傾向にあった。また、アウトカムに関する用語が明記されているパスが比較的少なく、単なる作業工程表として用いられている可能性が示唆された。
標準化ケアカテゴリーの試案としては、 (1) アウトカム、 (2) 検査、 (3) 栄養、 (4) 清潔、 (5) 排泄、 (6) 安静度、 (7) 処置、 (8) 指導、 (9) リハビリテーション、 (10) 薬剤の10カテゴリーを提案する。