抄録
[目的] 大腸ポリペクトミーは、大腸腺腫や早期大腸癌の治療として一般的なものであるが、そのマネージメントは施設差が大きい。当院においては、1998年より大腸ポリペクトミーに対してクリティカルパス (CP) を導入し1泊入院で施行していた。今回日帰り手術へ移行することを目的としてCPのバリアンス解析および偶発症の発生率について検討することにした。 [方法] 1泊入院のCPを導入し、2年間のバリアンスおよび偶発症について解析した。その結果をもとに日帰り手術のCPを作成した。また、日帰り手術への移行前後におけるポリペクトミー件数の推移について検討した。
[成績] 1泊入院のCPを使用した症例は260例であった。切除したポリープの大きさは5mmから30mmであった。1回の切除ポリープ数は1個から5個であった。偶発症は10mmのポリープを1個切除し4日目に出血した1例のみであった (発症率0.38%) 。日帰り手術205例において合併症は認あられなかった。日帰り手術に移行する前後でポリペクトミー件数は140例/年から205例/年と前年比46%の増加となり、大腸内視鏡全体でも525件/年から641件/年と前年比22%の増加となった。
[結語] CPのバリアンス解析により、1泊入院で施行していた大腸ポリペクトミーを日帰り手術に移行することが可能であった。日帰り手術としたことにより患者負担が軽減し大腸内視鏡件数の著明な増加を認めた。