医療マネジメント学会雑誌
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診断群分類 (DPC) 別包括評価への移行を機会に導入した開胸肺切除術クリティカルパスの効果
酒井 光昭石川 成美佐野 悦子西村 京子鬼塚 正孝榊原 謙
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2004 年 5 巻 2 号 p. 339-344

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抄録

【序文】特定機能病院では新しい診療報酬体系として診断群分類 (DPC) 別包括評価が導入された. 当科ではこれを機会に開胸肺切除術症例に対してクリティカルパスを導入したので, 両者同時導入の有用性を検討した. 【方法】平成15年度DPC「傷病名: 肺の悪性腫瘍, 手術: 肺悪性腫瘍手術, 処置等1 (化学療法, 放射線療法, 人工呼吸) なし, 副傷病なし」に該当する症例を対象とし, DPC別包括評価およびクリティカルパス導入前30例をControl群, 導入後19例をDPC+CP群として次の項目を比較した. 【成績】Control群/DPC+CP群で示す. 経過全在院日数29.6/17.1日, 術後在院日数19.7/10.6日, 術後輸液日数5.0/2.8日, 周術期抗菌薬投与回数10.3/3.8回, 術後血液検査回数5.8/3.1回, 胸腔ドレーン留置日数4.2/3.4日, 術後胸部単純X線回数8.9/5.1回, 術後酸素投与時間80.4/74.9時間. 酸素投与時間を除く項目でDPC+CP群が有意に減少した (p<0.01). 安全性は術後合併症発生率0.33/0.44, 再入院率0/0.083, 手術死亡率と在院死亡率0/0で両群間に有意差を認めなかった. 請求ベース1入院当たり診療点数は174,121/170,832点で両群間に有意差なく, 1日当たり点数は4,876/5,318点とDPC+CP群で増加した (p<0.001). 【結語】DPC別包括評価とクリティカルパスの同時導入により従来診療と同じ安全性を保ちながら, 診療の合理化と標準化を達成した. 請求ベース診療点数は出来高評価の水準に保たれた.

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