医療マネジメント学会雑誌
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佐世保中央病院における処方せん疑義照会内容の分析
辻 泰弘田中 英子
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2004 年 5 巻 2 号 p. 385-388

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抄録

近年, 調剤に係わる医療事故が相次ぎ, 薬剤師による処方監査の重要性が再認識されている. 今回, リスクマネージメントの観点から処方せん疑義照会内容を集計し, 検討を行った. 平成14年に医療の質の向上を目的として, 電子カルテ及びオーダリングシステムを核とした診療・調剤支援システムを導入した後, 平成15年1月から12月までの本院処方せん159,354枚 (外来: 125,723枚入院: 33,631枚) において, 疑義照会を行った1,010件 (外来: 679件入院: 331件) を「薬学的疑義照会」と「処方形式的疑義照会」に分類し比較検討した. 総処方せん枚数に対する疑義照会率は0.63% (外来0.54%, 入院0.98%) であり, 入院の疑義照会率は外来の疑義照会率と比較して有意差 (p<0.05) がみられた. 外来・入院双方とも疑義照会発生比率は, 「処方形式的疑義照会」が「薬学的疑義照会」を上回る結果となった. なお, 疑義照会後の処方変更率は外来90.3%, 入院92.1%, 全体で91.6%と高い処方変更率となり, 薬剤師の疑義照会が合理性を持って受け入れられ, 適正な内容であったことを示しており, 副作用防止・相互作用回避など, 医薬品に関わるリスクマネージメントへ貢献していることが示唆された.

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