抄録
医師のインシデントレポート提出件数が少ないことや, 医療安全管理の活動になかなか協力を得られないのは, 多くの医療機関で共通の課題であろう.本研究では, この原因を探るため, 医療安全管理に対する医師の意識を調査し, その問題点を明らかにすることを目的として, 医学部付属病院の医師を対象にアンケート調査を実施した.その結果, 臨床経験年数の短い医師ほど, 安全管理対策委員会からの情報の伝達や, 研修会開催の案内が伝わっておらず, 各診療科内部の情報伝達の問題が明らかになった.情報伝達の不備は, 安全管理研修会への参加率が低い原因のひとつと考えられた.さらに, 臨床経験が4~9年の医師は, 研修会への参加率も低く, 合併症の報告にも消極的であり, 臨床経験年数による意識の相違が認あられた.
医療安全管理に関する情報は, 医局会のみに限らず, 外来, 病棟, 電子メールなど, 複数のルートで伝達し, 周知徹底を図るべきである.特に, 人を介した情報伝達には限界があるため, 院内メールにより直接情報伝達することが望ましいであろう. また, 時間や曜日を変えて研修会を頻回に開催し, 参加の機会を増やすことで, 医療安全管理に対する医師の意識を高めることが可能であると思われる.