抄録
当院では予防的抗菌薬投与を以前の術後3日目までの投与から手術当日のみへと短縮した胃全摘術用クリティカルパスを使用している. また, 薬剤はフロモキセブ (FMOX) からセファゾリン (CEZ) に変更した.このクリティカルパスの妥当性について, 術後合併症 (特に感染症) を中心に比較検討した. 【対象】胃全摘術を受けたFMOX手術当日と術後3日目まで投与群75例 (A群), FMOX手術当日1日投与群59例 (B群), CEZ手術当日1日投与群25例 (C群) である. 【結果】1. 術後合併症および術後感染症の発症率では3群間に差は認められなかったが, C群が52%と高率であった. 2. 術後3日間の発熱推移は3群間に差は認められなかったが, 術後4日目以降の37.5℃ 以上の熱発症例数はB群が68%と高率であった. 3. 臨床検査値としてWBC, CRPの推移を比較検討したところ, WBCでは各群間に大きな差はみられなかったが, CRPはC群が高値を推移していた. 【結語】胃全摘術における予防的抗菌薬CEZの手術日1日投与方法は, 術後合併症および4日目以降の熱発症例数が多い傾向がみられた. しかし, 臨床的には許容範囲であり, 継続使用可能なクリティカルパスと考えられた.